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第2回カンファレンス

【後編】開催報告

2017年2月23日(木)一般社団法人フレームワーク普及促進協会と株式会社ベーシックの共催による「第2回フレーム&ワークモジュール®カンファレンス【後編】」を開催しました。

 

カンファレンス後編では、「“日本を変える”人材教育〜世界標準を目指した、人材育成と組織マネジメントのあり方とは?〜」をテーマに掲げ、

ゲストスピーカーとして経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 参事官 内閣官房 働き方改革推進室兼務 伊藤 禎則氏をお招きし、

第4次産業革命と働き方改革~「①人材育成の強化」「②フリーランス・副業兼業など柔軟な働き方」を中心に)をテーマにお話しいただきました。

 

また、株式会社IIOSS 創業者 取締役、社団法人 国際経営者協会 元代表理事 岩崎 哲夫氏には

「Japan as No.1はなぜ崩壊したか?世界潮流に遅れをとる日本型マネジメント~"日本復活"をめざし、変化を成長エネルギーにする"マネージメントと人材育成"〜」について、

さらに早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授 入山 章栄先生には、

「世界標準をめざした人材育成と組織マネジメントのあり方とは〜世界の経営学から見る人材活用と組織のあり方への示唆〜」
を講演テーマに、それぞれお話いただきました。

その後、岩崎・入山両氏をパネラー、協会代表田原をモデレータとし、「日本の人材育成と、組織マネジメントの問題点」をテーマにパネルディスカッションを行いました。

前編と同様に、カンファレンス修了後には会場となったイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAの見学(希望制)もあり、ご参加の皆様には大変好評いただきました。

 

前編・後編と多くのご参加を賜りまして、誠にありがとうございました。

働き方改革・雇用人材政策をめぐる最近の動向について」その2
(第4次産業革命と働き方改革~
「①人材育成の強化」「②フリーランス・副業兼業など柔軟な働き方」を中心に)
経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 参事官 内閣官房 働き方改革推進室兼務
伊藤 禎則氏

36協定で今後青天井の残業が出来なくなり、残業時間は一年間で720時間、1ヶ月で60時間以内という制限が付く中で、制限時間内で生産性を高めるためには人材の質を高める事が重要です。

今後日本に必要となってくる人材は、IT/データ人材。
これはプログラミングの技術、ということではありません。具体的に言うと、

・課題・目的の設定力
・データ分析力
・データ活用力
・ITリテラシー
・コミュニケーション能力(語彙、ディベート)
・分野を超えて専門知や技能を組み合わせる実践力
・リーダーになる素質
これらが、今後の産業界に必要なスキルとして求められます。
 

個人として:自身の能力を最大化する、常に学び続ける
企業として:多様な人材による多様な働き方を受け入れ、女性に限らず高齢者や制約のある人材が仕事を続けられる環境を整備する
社会全体として:労働市場の整備や同一労働同一賃金の実現により、日本全体での人材の適材適所を実現する

という対策が必要となってきます。
一億総活躍のためには一億総勉強の心構えをもち、企業や個人として今後どのようにすべきか、働き手に求める能力は何か、どのような人材教育を行うかを明確にし、改革を進めることが重要、とお話いただきました。

気づき・考える人材を育成し、社内の暗黙知(ナレッジ)を共有・蓄積する
モジュール化、フレーム化による人材育成の具体的事例とご提案
一般社団法人フレームワーク普及促進協会 代表理事
株式会社ベーシック 代表取締役 田原 祐子

製造業からサービス業への割合の変化,労働時間とGDPの不一致、再就職と職業教育の厳しさ、少子高齢化と労働力不足…と、現在様々な問題点を抱えている日本企業。

これらを改善するには、今ある業務の見える化、モジュール化が必須であり、モジュール化を進め、業務をオープン化しなければなりません。
業務改善のメソドロジーとして、当協会が推進している「フレーム&ワークモジュール」活用をご提案しました。

実際、ある企業においてフレーム&ワークモジュールメソッドを取り入れ、業務をマニュアル化したところ、「マニュアルは、単なる業務マニュアルではなく、業務に対する問題点を明確にでき、それを改善し続けることができるもの」というご感想をいただきました。
時短勤務の方や、「その人しかわからない」業務があったりする企業において、フレーム&ワークモジュールは非常に効果的です。

今後も、協会では業務のオープン化と、企業内でのメソッド自走・発展、職場活性化から、日本全体の国力アップに貢献できるよう努めて参ります。

働き方にイノベーションを起こす!SYNQAのコンセプト
イトーキ株式会社

カンファレンス前編・後編と会場となった「イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(シンカ)」。

名前の通り、「イノベーション」を起こす場となっています。
1階の「WORK CAFE」では、外部の方が出会い「知見」を共有していただく場、
また、2階は「TEAM LAB」として、出会って生まれた知見を磨き、実際のプロジェクトとして進めていただく場、
3階はイトーキ社員の「SYNC OFFICE」となっており、プロジェクトを事業として発展させていただく場となっています。

SYNQAではオフィスに置ける多様性を実現するために、「自律性」「組織マインド」「個人の気持ち」という三つのコンセプトのシンクロを目指しています。

Japan as No.1はなぜ崩壊したか?世界潮流に遅れをとる日本型マネジメント
株式会社IIOSS 創業者 取締役、社団法人 国際経営者協会 元代表理事 岩崎 哲夫氏

現在、マサイ族成人男子の7割が携帯電話を所有しており、牛の売買を収入の元とし、携帯電話で牛の話をしてビジネスを進めています。
この「マサイ族と携帯電話」は、世界の急速な変化を象徴していて、世界はインターネットマーケットに組み込まれ、知識がネットワークによって世界中に広がっていくことを示しています。

日本を振り返ると、西暦2000年頃の日本の代表的な企業は利益率が非常に良かったのですが、現在、そのような企業は世界の市場からどんどん消えていっています。
もちろん努力をしていないわけではありません。ですが、業務改善のためにQC活動、BPM、バリューエンジニアリングなど、あらゆることを社内に取り入れても、このような残念な結果になってしまいました。
これは、どこかに根本的な問題があるということです。
日本国内だけを見据え、世界の潮流を見逃してしまったのが、日本の企業の問題点であり、活躍する場を失ってしまったのです。

この問題を解決するには、組織の持つミッションをどう理解しどう業務を実行するか、その業務とはどのようなエレメント(要素)から成り立つのかを徹底的に議論することが重要で、議論を進めていくとその企業のベクトル、進むべき方向性が決まってくること、また、イノベーションを実現するにはコマーシャリゼーションが必要であることを、お話しいただきました。

 

日本のマーケットだけでなく世界を見据えて企業のゴールを決め、仕事の生産性を上げることが必要で、国境を越えて有効なメソドロジーがフレーム&ワークモジュールだと、嬉しいお言葉もいただきました。

世界標準をめざした人材育成と組織マネジメントのあり方とは
〜世界の経営学から見る人材活用と組織のあり方への示唆〜
早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授 入山 章栄氏

今回の講演での共通ポイントとして、イノベーション(経済発展の一因のしての技術革新)があげられます。
日本企業だけでなく世界中で今イノベーションが求められていますが、どうすればイノベーションを起こしていけるのか。その本質的な答えは「知と知の組み合わせ」にあります。

新しい知、アイデアを生み出す時とは、必ず今ある既存の知と、別の今ある既存の知の新しい組合せであり、人間はゼロからはなにも生み出せません。

ですが、人間には認知に限界があり、同じ業界、同じ環境にいると目の前の物しか見えなくなってしまいます。

自分の目の前だけでなく、自分から離れた知を探索し、自分の持つ知と組み合わせること=知の探索が必要で、イノベーションはここから生まれてくるのです。

そして、探索を行った結果何か狙いが定まったら、今度はそれを深堀すること=知の深化といいますが、知の探索と深化をバランス良く行うことが必要です。

知の探索には時間やお金がかかります。また、失敗もつきものです。ですが、失敗を恐れずに探索が出来る環境を提供することが、これからの企業にとって重要となってきます。

また、企業間・企業内の壁を越えて人を動かす施策を行うこと、イノベーションを起こすためには組織の中になるべくバラバラな人間を入れること、そして、イノベーションを実行するには社内の信頼関係が大事であることを、お話しいただきました。

<パネルディスカッション>
日本の人材育成と組織マネジメントの問題点
株式会社IIOSS 創業者 取締役、社団法人 国際経営者協会 元代表理事 岩崎 哲夫氏
早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授 入山 章栄氏
一般社団法人フレームワーク普及促進協会 代表理事 田原 祐子

岩崎氏、入山氏の後編講演の内容をふまえて、当協会代表理事の田原がモデレーターとなり、お二人と「日本の人材育成と組織マネジメントの問題点」についてディスカッションを行いました。

以下、内容を一部抜粋して皆様にお届けいたします。(敬称略)

田原:日本企業の良い所はなんでしょうか?


岩崎:それは沢山あります。例えば、年功序列、生涯雇用、企業内組合など。ですが今は、これらを簡単に捨て去っているのではないかと思います。
日本の雇用慣行は、海外から見ると非常にユニークであり、日本経済の発展の理由だとも考えられています。善し悪しの物差しは国内だけでは計れません。日本の良さを再認識しない限り、日本の強みは活かせません。
日本がアメリカ的に雇用関係を変えようとしても、絶対に変えられないのです。アメリカは移民の文化であり、そもそもの文化が異なるので、無理なことをしようとしてもうまくいきません。

田原:入山先生はどうお考えですか?


入山:共感する部分があります。ダイバーシティ経営は去年から注目されていますが、日本だと岩崎さんがおっしゃったように、少しムリをしているんです。

ポイントは、何のためにやるか。ダイバーシティをやりたいからするんではなく、会社を良くしたいからダイバーシティを進める。男性女性、日本人外国人というよりも、違った価値観をもつ人たちが集まり、一枚岩になることで新しい価値観が生まれます。
ただ単に女性登用ということではないんです。現状男性が多いから、女性が、と言われていますが、価値観が違うのであれば男性だって良いんです。
男性女性、日本人外国人といった、見た目の属性に頼ったダイバーシティを「デモクラシー型」といい、属性ではなく知見、考え、価値観の違いで構成されたダイバーシティを「タスク型」といいます。
例えばBtoCの会社は女性が多い方が良い、というのは、お客様の半分が女性だからです。ですがBtoBの会社がムリをして、男性が多いから女性を入れよう、とするのは、それはデモクラシー型を進めているにすぎない。そうすると、男性は男性、女性は女性同士で固まってしまい、結局うまくいかないのです。

表面上のダイバーシティを推進するのではなく、本質として、会社が何を求めているか、を考えることが重要です。
 

岩崎:世界のトップに、「ファミリー経営」を進めている会社があります。その会社の7人のエグゼクティブメンバーの内、2人がユダヤ人なのですが、彼らは日本をリスペクトしています。ノーベル賞受賞者はユダヤ人が圧倒的に多いのに、です。それはなぜかというと、ユダヤ人は発明や発見に優れていても、コマーシャリゼーション(商品化)が下手だと。

彼ら曰く、コマーシャリゼーションのスキルは「集団のイノベーション」であり、それはユダヤ人にはどうしてもできない。日本ではそれを得意としている。そこをリスペクトしているわけです。

このように、我々は違う物差しで日本人固有の強みを見出さないとならない。戦略の立て方や、何のためにやるか、が重要なのです。
 

入山:ファミリー経営が良いかどうかと言うのは経営学でも研究が行われていて、多くの研究結果の中で、ファミリー経営の方がじつは業績がいい、というのがわかってきました。2000社くらいの上場企業を2〜30年間分析してきた結果、利益率も成長率も同族企業の方が良いという結果が出ています。

その理由の一つとして、ビジョンや理念がしっかりしている、ということがあげられます。社長が2年3年任期で変わるようなサラリーマン企業だと、社長の任期に紐づいて会社の方針が変わってしまい、軸がぶれ、結果的にいろんなことができなくなってしまう。今、面白いな、と感じる会社はだいたいがファミリー経営です。

 

田原:日本ではそれをどのように活かしていけばよいとお考えですか?
 

岩崎:人を育てるときに、人の属性の違いを見てはいけません。その人個人の持つ目標、目的を認識すること。それにしたがって、その人のもつ能力を発揮してもらいます。
例えば開発や企画というものは、いたずらに時間をかけるものではないと私は思っています。
企業側が多様な人を採用できるかどうか、にかかっています。イノベーションを起こすために、結局は無法地帯をつくるしかないのです。そのような企業となれるトップを作れるのは、CEOしかいない。CEOは決意をしてトップを作り、人を育てることが重要なのです。

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