第3回カンファレンス開催報告

2018年2月15日(木)に、今年で第3回目となる「フレーム&ワークモジュール®カンファレンス」を、五反田にあるイノベーションスペース「DEJIMA」で開催しました。

 

今回のカンファレンスでは、ゲストスピーカーとして

内閣府知的財産戦略推進事務局長 住田孝之氏をお招きし、

『知識創造社会のビジョンと戦略』~AI時代に必要とされる着眼点と人材~をテーマにお話しいただきました。

また、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集長 大坪亮氏には

『AIが導入され、仕事や働き方はどう変わっていくか?』

~人間に必要なスキルや能力は何か?出る杭は打たれる?組織はどうあるべきか~と題し、ご講演いただきました。

その他、フレーム&ワークモジュール®の導入企業である株式会社コスモスイニシア様による事例発表や、住田氏、大坪氏、田原を交えたパネルディスカッション等、大変好評のうちに終了いたしました。

開催報告として、登壇順に講演内容を抜粋し、ご紹介いたします。

オープニング講演 『研修では、なぜ人は育たないのか?』

~自ら生産性を高め、気づき・考える人材を育成する!AI・RPA導入時代の人材教育とは?~

一般社団法人フレームワーク普及促進協会 代表理事 田原 祐子

当協会の代表理事田原が、まずオープニング講演を務めました。

 

AI時代の働き方改革と人材教育に重要なこととして、

働き方改革は、まず業務自体の「モジュール化(見える化)」および「フレーム化(仕組みづくり)」が不可欠であるということ。

この2点を進めることで、業務におけるムダがわかり、最適化することで作業の時間短縮ができます。

また、仕事ができる人のやり方を「見える化」することで人間関係円滑にも繋がり、
業務を見える化すれば言語化(マニュアルやチェックリスト化)が進み、それを読めば誰でも作業ができるようになるのです。
みんなの暗黙知を集め、みんなで活かすことで、さらなるアイデアが生まれ、知識は社内に蓄積され、それを参考に新たなアイデアを生み出すといった好循環ができあがります。
これからのAI時代で人間がするべきことは、人工知能(AI)とは異なる「クリエイティブ」な仕事を進めることが重要なのです。

 

『知識創造社会のビジョンと戦略』 ~AI時代に必要とされる着眼点と人材~

内閣府 知的財産戦略推進事務局長 住田 孝之 氏

知的財産戦略本部とは、「知的財産基本法」に基づき設置された、絵師府全体の知的財産推進計画の作成や推進、知的財産に関する重要施策の企画・推進・総合調整を推進しています。

現在はAI時代ー第4次産業革命やSociety5.0(超スマート社会)だと言われています。

今までの需要と供給のバランスは要求の方が多く、物を作れば売れていたが、今は需要側が何を求めているかを意識してものづくりを進めなければなりません。

それには何が必要かというと、全体の「ビッグピクチャー」を見据えることが重要です。
ビッグピクチャーと分化(見える化)には関連性が高く、そもそも全体像(ビッグピクチャー)がないと、見える化はできません。全体像と、そこにたどり着くまでの要素を見える化し、比較しながら、ものづくりを進めていく。

全体像が見え、本当に必要な要素が明確になれば、作業上で「何が」「どう」関連しているのかがはっきりするため、関連する部署を巻き込み、新しい発想を生み出すことができるのです。

また、「楽しい」と思えることが最も重要で、こういった感情は人間にしかない。楽しむと言う気持ちが、どんどん知恵や新しい発想を生んでいく。
「楽しい」をモチベーションにすることが、イノベーションにはかかせないと、お話しいただきました。

パネルディスカッション
AI時代だからこそ、求められる人材の姿とは?

内閣府 知的財産戦略推進事務局長 住田 孝之 氏

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集長 大坪 亮氏
一般社団法人フレームワーク普及促進協会 代表理事 田原 祐子

今回のカンファレンスのテーマである“AI時代の人材育成”について、住田氏、大坪氏を交えパネルディスカッションとしてお話をお伺いしました。

お二人へのインタビューを一部ご紹介します。

田原:導入が進んでいるAIや、今まで意識してこなかった仕事に対する「楽しい」という感覚、試行錯誤して良い方向に導きたい現状と、今後私たちはどのような状況へ行き着くのかを、ナビゲーションお願いします。

住田氏:現在、なんとも言えない閉塞感があると言われます。皆「自分らしさ」を失っている時間が多いように思います。
本来は会社や家庭でも、自分のいいところをたくさん出せれば良いのですが、これは日本人らしいところでもあるけれど、ついまわりの空気を読んで自分の行動に制約をかけてしまう。
海外にいくとそんな人はいない。思ったことを言うし、言ったこと以上のことは考えていない。言葉通りです。なので、海外の人と付き合うと逆に自信が持てるかもしれないですね。

大坪氏:先ほどの住田氏のお話の中でも多様性が大事だと出て来ましたが、海外の方と仕事をすると気づきがある、というのはあると思います。
ハーバードビジネスレビューではアメリカや海外の知見が集まっており、私自身も海外と日本を行ったり来たりしていますが、その中で最近感じるのは、昔はアメリカの論文は日本では使えなかったが、現在はかなりグローバル化が進み、日本も海外もベースが一緒になってきたということです。
例えば、今回ハーバードビジネスレビューで取り上げているテーマが「Facebookを職場でいかに活用するか」なのですが、Facebookはプライベートを発信するツールなので、若者はそれを嫌がるのです。自分のプライベートを上司に知られたくない、と思っています。
それをどのように活用すれば良いかは、先ほど住田氏の話にもあった「いろんな人が集まれる場」のように、たとえば喫煙スペースや会社の運動会、あるいは社員食堂のような形でFacebookを使えるのではないか、という内容でした。
これは日本でも当てはまる話で、例えば上司のFacebookに部下から友達申請がきて、片方の部下からは申請がきていない場合にどうすればいいか、という悩みなど、アメリカも日本も変わらないな、ということです。
もう一つ、プレミアムフライデーで何をすべきかわからない、という悩みで、これにFacebookが活用できるのではないか、友人の更新内容を見て、リアクションをする、さらに交流を深めるなど、道具をつかって世界を広げる。

田原:自分の制約をとりはずして、何かそういう交流を深め、思考を解放するには、今後私たちはどのようにしていけばいいでしょうか?

住田氏:基本は、「自分が好きなようにする」です。好きなことをすると長続きする。好きじゃないことをするとストレスがたまり、長続きしない。そこでトラブルが起こるとさらにストレスがたまり、もう一切やらない、となってしまいます。できるだけ自然体で、これ楽しいな、いいな、と思うことをする。あまり無理をしないほうがいいです。会社で見せる自分を演じるだとか、こういったらどう伝わるかな、と考えてしまう人もいると思うけれど、最低限のマナーは守らなくてはならないが、自由に好きなように、という方がいいですね。

田原:すごく心が解き放たれたような気がします。

大坪氏:先ほど質問された方と、住田氏の話で触発されたのですが、人間ができることは「アート」ということ、今後技術が発達する中で人間はどうなっていくのかということで、作家の重要性が出てくるのではないか、と思います。
レビュー1月号でも様々な方が技術について語っているのですが、いわゆるビジョナリー、未来を示すことが重要だとなっていて、作家がその役割を果たす。改めて作家の重要性が認識されるのではないかということです。
カズオイシグロさん(ノーベル文学賞受賞)は「私を離さないで」という作品で、人間が生きていくために代わりの内臓を提供する、別に作る、という内容がありますが、これも現実に起こりうるだろうな、と読み手に思わされる。
未来に対する明るい面も暗い面も含めて、ビジョンを示す。
機械は過去の経験を元にしか作れないが、人間は0から1を生み出すことができる。
そのような意味でも、作家やアートの世界には可能性があるなと思います。

住田氏:まさにその通りだと思っていて、”妄想”や”空想”することは人間の特権です。
いろんなことを考えて表現すると様々な反応が返ってくる。一つの作品でも、いいと思う人がいればよくないと思う人もいる。
それが人の持つ個性なのでは、と思います。そういった広がりがとても大事です。
今あるものだけ、技術だけ、など、足元にあるものだけ考えていると、なかなかそのような世界に行けない。未来を考えるときは、多かれ少なかれ自分がアーティストになった気分で考えた方がいいですね。

大坪氏:そういう意味では、住田氏の講演の冒頭にあった供給から需要サイドに重要性が移行した中で、需要すなわち消費者が求めているものを探すというところで、空想や想像力を使ってヒントが見つけられる面もあるかなと思います。
もちろんビッグデータの分析結果でも見えてくるものが多分にあるだろうけど、ビッグデータではないところを、作家や芸術家、芸術センスのある商品開発の担当者が埋められるところがあるのではないかと思います。

住田氏:需要サイドから考えるビジネスというのは現在進んでいます。たとえばグーグルなどで、サイトを見ていると自動的に自分に合った広告が出たりしますね。そうすると、ビッグデータやAIに、人間の思考が操作される、洗脳されるということも出てきていて、逆にいうと上手に洗脳すれば、サービスや商品にうまく誘導できる。
それはある種賢いビジネスなんですが、ハッと我に返った時に「自分はこれが好き」「自分はこれがいい」ということが出てくるところが面白い。空想力、妄想力、あるいは本能のようなもの、こういうものがある面が、人間の面白いところだと思います。

田原:今の妄想というお話を職場に近づけていくと、立川市にとある精密機械をつくる会社があり、そこでは若い方と、一旦リタイアされて復職された80歳代の方が共に特許を開発したということがあって、そういう多様性と、会社自体もオープンな形、好きにやってよいという寛容な場で、特許がどんどん生まれてくる。
現場でそのような場や、アートを許す感覚が出てくると、日本はそもそもとても知恵を持っているので、企業が強くなれると思います。

住田氏:日本人はとても才能に恵まれていると思っています。なんとなく自分を制限してしまうこともあるし、世の中の常識にとらわれてしまうこともあるが、何か新しいこと、自分らしくしたことを誉めてあげれば、伸びるのです。
私がマネジメントで大事だと思っているのは、その人がこの仕事ができたから褒める、ということよりも、この人は何が得意なのだろうか?何をしている時が一番生き生きしているか?というところを見て、その部分を伸ばすこと。
せっかく良い面がある人に、全然関係ない、たとえばその人にとっては不得意な作業を与えるのはもったいないです。それぞれの持つ良い面、能力を引き出して組み合わせることで、さらに強くなれる。逆にいうと、足りない部分はそれこそロボットにやらせればいい。想像力の部分は大抵はやはり人間の方が優れているので、良い面を引き出し、さらに褒める、ということ。褒めると、楽しいと思える。そうするとより次に進める。良い循環が生まれると思います。

 

AIが導入され、仕事や働き方はどう変わっていくか?
~人間に必要なスキルや能力は何か?出る杭は打たれる?組織はどうあるべきか~

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集長 大坪 亮氏

現在発売中のハーバードビジネスレビュー誌面に使用されているAR技術(スマートフォンをかざすと、誌面から3D動画が飛び出す)を実際に見せていただき、AI革命で何ができるかは、まだ具現化されていないが、新しい製品は出てきていること、例えばポケモンGOや海外のユニクロのフィッティングルームのようなAR技術など、このような新しい技術が今後さらに増加することで、付加価値が高まり、生産性が高まることをお話しいただきました。

また、AI時代に企業としてすべきこととして、

・ビッグデータを活用できる人材を確保すること。

・データ活用を前提として、考察、発想力、想像力、問題発見、課題設定できる人材を獲得、育成すること。

「コンピューターは答えることしかできない(問題を発見できない)」これはピカソの言葉で、まさにこれが人間に求められていることです。
個人として自分の能力を育成するためには、問題発見力と課題設定力を身につけることが重要です。

それには「ワクワクする」ことが重要で、深刻に考えても問題解決は難しく、ワクワクしながら課題発見に取り組むことが大事だとお話しいただきました。

DEJIMAインフォメーション
「AIビジネス推進コンソーシアム」について

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 AIビジネス推進部 寺澤 豊氏

今回会場としてお借りした「イノベーションスペースDEJIMA」。

こちらを運営している伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の寺澤氏が理事を務めておられる「AIビジネス推進コンソーシアム」についてご説明いただき、AI時代に争奪戦となっている開発エンジニアや、研究世界を応用しビジネスにつなげる人材を、ライバル企業同士も手を取りあいながら育成し、企業同士の交流を進め、相互に協力していること、さらに大学・研究機関との連携も進めている取り組みについてお話しいただきました。

 

http://aibpc.org/
 

終了後のアンケートでは、ご回答いただいたすべての方から、「大変良い~良い」というご感想をいただき、「とても有意義だった!」「日本の未来が明るく感じた!」といううれしいお声をいただいております。

イノベーションスペースDEJIMAのオープンで暖かい雰囲気の中で、皆様とご一緒にとても有意義な時間をすごさせていただきましたこと、弊社一同心から感謝申し上げます。

多くのご参加を賜り、誠にありがとうございました。

Thank you!

2018年カンファレンス動画-短縮版-
 

※音声が出ます。